代表者挨拶

コロナ禍の先に見据える健全な社会の創造へ

当社は2022年10月から第30期を迎えました。創業当初はここまで長く会社を続けるとは思いもよりませんでした。約30年間、会社経営の最前線にいるとさまざまなことがあります。阪神大震災、ITバブルと崩壊、リーマンショック、東日本大震災など。その度に会社は当然危機に見舞われますが、同時に「ピンチはチャンス」の言葉通り、起死回生の糧にしてきたともいえます。直近でいえば、世界的にはまだ終息したとは言い難いコロナ禍です。

コロナ禍で何が大きく変わったかといえば、私自身は活動が大きく変化したことです。まず、ベトナムをはじめとしてネパール、アフリカのルワンダなどへの往来がゼロになったことです。当社は15年以上前よりオンラインでのビジネス環境は日常の風景でしたので、その部分は特に大きく変化はしていません。しかし、自分自身がその現地にいけないということに対して、新しい海外ビジネスのあり方を模索する良いキッカケを与えてくれたと思っています。そのひとつがベトナムとルワンダで開催したオンラインツアーです。多くの参加者の方々には日本にいながらにして、現地の様子を体験していただきました。これからの新しい海外ビジネスのひとつとして方向性を示せたのではないかと思います。

もうひとつは、海外から国内へ視点をシフトさせたことです。オンラインプラットフォームである「ブレイン・ナビオン」を立ち上げ、さまざまな付加サービスをリリースさせて頂きました。「ブレイン・ナビオン」には数多くのビジネスパートナーがスピーカーとして登場し、またITグローバルブレインやカナリアコミュニケーションズ、自然産業研究所などの当社グループ会社に関わる多くの方々にも登場いただき、コロナ禍にありながら幅広いテーマによるコンテンツの創造を実現することができたのです。併せて、日本各地に「ブレイン・ナビオン」の情報発信スタジオを設置していく「ブレスタ」の展開も2021年に入り、急加速させました。ベトナムなどの新興国との交流を基点に地域活性化の活動を進めていた当社ですが、「ブレスタ」はその地域同士をオンラインでつなぎ、従来は実現が難しかった横展開の交流を可能にしたものです。「ブレスタ」はお付き合いさせて頂いているパートナーの方々の協力のもと、すでに50カ所以上となっています。『高齢者』『多文化共生』『生涯教育』『農業』と「ブレスタ」から派生するテーマは無限大です。

海外ビジネスの形が変わり、改めて国内を見渡すとまだまだ“つなぐ”ことができる地域とテーマが数多く存在します。当社は情報と人をつなぐ会社です。これからも海外は当然のこと、日本国内の地域と地域にも目を配り、つないでいきたいと考えています。

そして、コロナ禍の中で最も考えたことは健全な社会のあり方といっても過言ではないでしょう。当社は、健全な地球、健全な人、健全な社会の構築を目指しています。

創業以来約30年、個人として約40年近い間、IT業界にも関わってきて、断言できるのは『ITはツールであることは疑う余地はないが、諸刃の剣である』という事実です。約20年前に処女作「だから中小企業IT化は失敗する」を上梓し、その中で述べさせていただいたことが私の考えの本質でもあります。だからこそ、現在日本国内で巻き起こっているDX一辺倒ブームに危機感を覚えます。使い方を間違えたり、不健全な使い方をすると、人類にとって不幸の連鎖を招きます。今は、その過渡期ともいえる状況です。必要なのは、部分最適や個人最適ではなく、地球全体の最適化です。環境、農業、食品、建築、物流など、すべてが有機的に変わらなければならないのではないでしょうか。そのような課題において、「ITをつなぐ、見える化、仕組み化に活用する」ことが、当社のミッションともいえます。

地球、人、社会がいかに健全であり続けることができるかというのは、このような試練をどのようにチャンスに変えていくべきなのか。このコロナ禍を人類の教訓として、健全な地球と社会の創造に微力ながら尽力していきたいと思っています。

2022年10月
株式会社ブレインワークス 代表取締役